かんがえる福祉教育web

FUKUTHINK

REPORT 実施事例レポート

社会のリアルと私

  • 03

    調和する地域と介護・福祉

    【実施地域】神奈川県
    【実施主体】社会福祉法人愛川舜寿会

    • 概要

      神奈川県愛川町で社会福祉法人愛川舜寿会を経営する馬場拓也氏が、これからの福祉とまちの関係性をどのようにつなぎ、いかに日常の当たり前をつくっていけるかを伝えました。はじめは下を向き興味を持っていなかった学生らも、講義がはじまると顔を上げ、馬場氏の話しを食い入るように聴いている姿が印象的でした。

    • 授業のポイント

      1. 福祉はもっときみの近くにいる
        生徒からの「福祉に直接触れたことがない」という言葉を聞き、あらためて日常の暮らしと福祉の接続機会の少なさを感じることは多い。しかし、認知症の高齢者、障がいのある人、何らかのままならなさを抱えた人は、実はみんなが思っている以上にすぐ近くにいるということ。その姿が社会の中から「見えなく」なっている現状。実は、福祉はすぐ近くにあり、もっと身近なものであるということ。簡単な例をあげるならば、幼児期に保育園に通っていた人がいるならば、みんなは既に10数年前に、「児童福祉」の中にいたという事実をリフレクションすることから講義がはじまります。
      2. 福祉をまちの風景に
        馬場氏が経営する特別養護老人ホーム「ミノワホーム」)は2016年の相模原障害者殺傷事件が起きた施設からほど近い神奈川県愛川町にある。「障害者はいなくなったほうがいい」という差別的な言葉とその思想を受け、ミノワホームを囲む壁を取り壊し、誰もがアクセス可能な庭として地域解放した実践の話を学生たちに伝える。施設の前を通る小・中学生たちと入居者たちは挨拶を交わし、地域の人たちはベンチでひと休みをする。そんな日常の風景がつくられたことから少しずつ地域と福祉施設の距離が縮まっていったという実践の話から、福祉の見える化の重要性を問いなおしていきます。
      3. 人間と人間が生きるまち
        壁を取り払ったあと、永眠した入居者を職員らがお見送りしていたその時、施設向かいのガソリンスタンドで働く若者が帽子を取って一礼し、一緒に見送ってくれたという。
        また、「凸凹(でこぼこ)保育園」では、障害のある乳幼児が通う「児童発達支援」、小学生から高校生までが通う「放課後等デイサービス」を認可保育園と一体となって運営するインクルーシブ教育を実践している。講義を通じて、自分ごとに引き寄せて考えるには、想像が必要であり、その際には“顔の見えるあの子”や、“あのお婆ちゃん”という存在が必要であることを学生たちと考える時間となった。
    お問い合わせはこちら